ハムストリングの肉離れ、予防

ハムストリング肉離れの既往があるスプリンターの方から、復帰から年単位の期間が経っているが、いくらストレッチをしても疲労感や張りが抜けず困っているという相談を受けました。

 

〇まずは筋肉の説明から

先にハムストリングの位置と機能を確認しておきましょう。

右脚を後ろからみている図です。

坐骨から起こり、股関節を通って、膝関節も通って、スネの2本の骨に付着しています。

付着部から起始部に向かって縮むわけですが、機能としては、

脚を後方に振り上げるような股関節の伸展という動き、膝を曲げる動き、

プラス足が地面についている状態だと、
骨盤を後傾(恥骨が上を向く方向への傾き)させる動きを引き出す作用があります。

 

この筋群の疲労や張りが必要以上に残った状態で運動を続けることは怪我の一因になります。

 

ストレッチをするには、おおざっぱですが筋の機能と反対方向の関節運動を行えば緊張を和らげたり、温度を上げて滑性を高める効果が期待できます。
ですので股関節を曲げる、膝を伸ばす、骨盤を前傾させる。というのが、ハムストリングのストレッチ方向となります。

 

〇どうして張りがとれないの?

この相談者の方は、十分にストレッチはしているんだけれど、思ったような効果が得られないということでした。
では、他のことに取り組んでみたらいいのでは??とも考えるかもしれませんが、
ひとまずストレッチの効果をもっと引き出したい!という筋で話を進めていきましょう。

 

そこで考えてみたいのは、体のポジション・姿勢ということです。

 

股関節を曲げる、膝を伸ばす、骨盤を前傾させる。というような動作をしても
ハムストリングのストレッチがされない。緊張がとれない。とすると、

何らかの原因で日常的に股屈曲、膝伸展、骨盤前傾の緊張があることで、
ハムに負担がかかっているのではないか?という説が浮かびます。

 

裏側(ハム)をすっきりさせたくて裏側に一生懸命アプローチしているけど、
表側(腸腰筋、四頭筋、腹筋など)のコンディションが悪いため裏側の状態が改善されにくいのでは?ということです。

 

右側が不調だけど、原因は左側だよね?腰痛めてるけど、肩甲骨周りの不活動をかばってるからだよね?というように、
対処しなきゃいけないのは裏じゃなくて表でしょ。ということは多くあります。

 

という説で、この方には腸腰筋の緊張をとってみては?と提案しました。

 

腸腰筋の場所はこのあたりです。

矢印の方向に縮み、大腿骨を引き上げていく主要な筋肉として知られています。

脚が地面に着いたまま、この方向に緊張が高まると骨盤の前傾を誘導していくこととなります。

骨盤前傾位になると坐骨の位置が上がりますので、立っているとき、
ハムストリングスは常に小さな伸張ストレスを受けていると考えられます。

ですので、ハムが疲れる、張って仕方ない人は腸腰筋のリラクゼーションを考慮してみると、変化を実感できそうです。

 

 

外からみると、このあたりにあります。

わかりづらいですが、ベルトの引っ掛かる骨と、へそをつないだライン上だと思っていただければ、大きく間違いはないです。

 

〇対処方法は?

腸腰筋の緊張を写真のようにボールなどを利用してほぐしていきます。

このようにうつ伏せになり、体重をかけることで少し圧を加えていきます。(右手の部分にボールが当たっています)

膝を曲げ伸ばししたり、足を内側外側へと開閉して腸腰筋部に刺激を与えていきます。

少し痛みがあっても大丈夫ですが、せわしなく動かすのではなく、ゆっくり呼吸をしながら刺激を受け入れるような感覚で動かしてみてください。

ボールの位置も少しづつ上下左右に動かし、痛気持ちいい場所を探してみてください。

片足だけ試してみて、もも上げや屈伸運動をしてみると動作のスムーズさを感じられるかと思います。

 

このように前面のストレスを減らし骨盤の偏りを均してから、後面のハムストリングのストレッチを実施すると、
普段より疲労感や突っ張る感じが取れてきますので、お試しください。

 

ハムの動きがよくなると、ランニングなどトレーニング後の疲労感や筋肉痛が増すかもしれませんが、そこは伸びしろの部分に手が届いてきたんだと理解してくださいね。

簡単な動作の説明でも文章で伝えようとするとややこしく思えますが、


全身バランス整体では、どこに意識を向けて動かすか?どうなってしまったら誤ったやり方なのか?といった点もお伝えしています。

 

痛みのある生活から早く抜け出したい方、もっと上手に体と向き合いたい方、連絡お待ちしております。

 

筆者:五十嵐亮太

 

 

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